プロローグ

 ――カツン、カツン。

 ああ、やっと行ったようだ。困ったなぁ。普通に過ごしていたと思ったのに、まさかこんな冷たい牢屋に入れられることになるとは。誰が予想していただろう、こんな未来。
 はあ。
 思わず溜息が漏れた。
 この後どうなるかなんて分かってる。人体実験。その言葉が頭をよぎる。そう、人体実験の材料にされるのだ。人為的に「人外」を作り出すための。
「ねえ、君名前は?」
舞弥 まいや 。――……え?」
 思わず答えてしまった。
 今まで床を睨んでいた目線を上へ。柵の向こうにある、柵のさらに向こう。へらりと笑う少年の姿。

「舞弥か。僕は 空鵝 くうが 。人外だけどよろしくね」

 ――これが、異世界を旅することとなる二人の出会い。

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